成人式とオトナ達
今週の出来事を振り返ってみますと、そういえば、月曜日は祝日で、各地で成人式が行われていました。友達やご家族と一緒に、会場に向かう晴れ着姿の新成人、車の窓から身を乗り出して(ほぼ箱乗り状態)、日の丸国旗を振りまくっている袴姿のゴキゲンな新成人、 また、頼んだはずの晴れ着が着れなくて、腹を立ててる新成人、今年も、実に様々な新成人の姿を目にしました。
成人式の日、みなさんの中にも、ふと、「自分がハタチの時はどうだったのかな?」と思いを巡らせた方もいたのではないでしょうか。目の前の初々しい新成人の姿と、自分の当時の姿を重ね合わせて、なんとなく、嬉しくなったり、時に恥かしい気持ちになったり、なんか、切なくなったり、急に笑いがこみ上げたりと…。そんな、「淡い思い出」に浸る時間は、意外と人生の中で意味があるような気が致します。
さて、そんな、「淡い思い出」はともかく、新成人となると、世間一般的には「オトナ」の仲間入りということになります。しかし、とても、当たり前の事ですが、その日から、急に人間がオトナになるのではありません。平たく言うと、徐々にオトナになっていくものだと思います。
何を隠そう、心理学的な文脈からすると、成人式を迎えるオトナ達は、まだ、「青年期」という発達段階に分類される人達のことで、実は、まだ、「青年」なので、オトナとは言えない中途半端な感じなのです。それ故、まだまだ、「自分はオトナなのか?コドモなのか?」と色々悩んだり、「オトナとは一体なにか?コドモとは一体なにか?」という、哲学的な問いにとらわれて悶々とすることもあります。また、現実的な問題としても、一人のオトナとして振る舞うことの難しさに悩まされたりします。そのような悩みや苦悩は、人が成長する上では、なかば必然的なものではあり、大切なことではあります。
このような時期を、一般には、モラトリアム期というの言い方でも表現するのですが(モラトリアムの意味は、「猶予」、つまり、オトナになることの猶予期間という意味、もともとは経済学の用語らしい?)、現代はどんどんそのモラトリアムの時間が長くなっていると言われています。理由について、精神論ではなくて、社会状況のいろんな複雑な変化が考えられると思いますが、それは、決して悪いことではなく、ある意味、それはそれで社会が豊かになった証だとも僕自身は考えております。
また、その分だけ、「この先、どう生きていけばいいのか」「幸せな人生とは何か」「生きがいとは何か」といった個人個人の心や感情の問題がより大切になってくるという意味では、昔にはなかった、ある種の「生きづらさ」もあります。
しかし、どういったことか、それとは裏腹に、社会は、その「生きづらさ」をすっ飛ばして、過剰に、また都合よくオトナになることを要求するようになっています。「1/2成人式」なんか、その最たるものではないかと考えております。
なんで、みんな、はやくオトナにさせたいのでしょうか。もう少し、ゆっくりとオトナにさせてあげる必要もあるのではないでしょうか。そもそも、「させる」という発想自体がおせっかいなのかもしれません。
実は、カウンセリングをしていると、よくあることなのですが、幼い頃から、いろんな状況によって、オトナにならざるを得なくて苦しんできた方達によく出会います。彼らは、幼いときら、「立派なオトナ」だったりします。しかし、幼い頃から、オトナであることを虐げられると、それこそ、本当のオトナになった時に彼らを待ち受けているのは、「自分はなんのために生きてきたのか」というような挫折だあったり、時に、「絶望」という言葉で表現されるような苦悩だったりします。
そんなことを考えると、むしろ、今必要なのは、成人式じゃなく、
「もう一度コドモになっていいよ式」みたいなユーモラスな式典であったりするのかなとも思います。一度、MCRでも企画してみたいものです。
僕が世界で最も尊敬するミュージシャンの宮沢和史さん(THE BOOMのボーカル、解散してしまいました涙)は、「いつもと違う場所で」という歌の中で、こんなことを言っています。
「人はみな、大人になろうと懸命に努力している子供だろ?」
成人式を迎えたからと言って、無理せず、ゆっくりと自分の道を進んでくれたらいいなと、ゴキゲンな袴姿のおにいちゃんや、〇〇〇ヒの前で、腹を立ててるオトナ達をみて、ふとそんなことを思いました。君たちは悪くないと。
MCRは、そんなオトナと一緒にいろんな悩みを共有し、時にコドモのように振る舞える、みんなの、「いつもと違う場所」になれればと思っております。
それにしても、
「成人式に晴れ着がない…」
なかばシャレのような今回の出来事は、今の日本社会を象徴しているような出来事でもありました。
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