息する心理学
今日は、カウンセリングでよく用いる深呼吸について書いてみます。
深呼吸をすることは、こころとからだをリラックスさせてくれたり、逆に、集中力を高めてくれたりする効果があると言われております。
深呼吸とは、文字通り、「深い呼吸」ということですが、その反対が「浅い呼吸」となります。僕たちは、呼吸をしながら、生きています。そう、息しています。息ができなくなると、当たり前ですが、人は死にます。人が生きるというのは、息をすること、ともいえるので、息とは、人の命にもかかわるような大切なものです。
しかし、面白ことに、僕たちは、勝手に息をしています。そんなに大切なことなのに、ほとんど勝手に行われています。無意識に息を吐いたり、吸ったりしているのです。呼吸が浅くなるというのは、この、無意識に行われている呼吸が、なんとなくうまくいかなくなる、という状態だと思われます。そうなると、「(息が)思うようにいかない」感じが出てきて、人は余計に焦ってしまいます。焦ると、どんどんうまくいきません。結果的に、僕たちは、息苦しくなってしまいます。
深呼吸とは、そのような息苦しい状態から、回復させてくれる営みでもあります。もう一度、自分の意思で、吐いたり吸ったりすることで、徐々に本来の「調子」を取り戻していきます。そして、最終的には、無意識に、勝手に息ができるようになっていきます。
息の話でもわかるように、大切なことはいつも、「無意識」や「勝手」に行われている、ということなのです。でも、僕たちは、その「無意識」や「勝手」に行われていることに対して、不安になったり、怖くなったり、「息ができなくなったらどうしよう」と、いちいち考えることはありません。
なぜかと言うと、おおざっぱな言い方をすると、僕たちは、「自分を信じているから」です。この、「自分への信頼」が揺らいだ時、パニック発作が生じるクライエントさんが苦しんでいるように、「息ができなくなったらどうしよう」という考えに、とらわれてしまいます。
息が浅くなる、ということと、「信じている自分」がどんどん揺らいだりすることとの間に何か関係があるのかなと理解すれば、深呼吸をすることは、「自分を取り戻す」作業と言い換えることができます。理科的発想では、酸素と二酸化炭素の交換という、身も蓋もない話ですが、酸素と二酸化炭素の交換ということだけど、僕たちの中で起こる、「息をめぐる冒険」を説明することはできません。
「息苦しい…」
「息詰まる…」
「息が長い…」
「ため息」
「過呼吸」
「息が臭いと思う…」等等。
人は、緊張した時に、思いのほか息を吸い過ぎてしまいます。
緊張とは、「本来の自分がだせるかどうか不安な時」によくおきます。自分が出せないと、他者に自分を誤解されてしまったり、「自分が思ってもらいたい自分」ではない自分が、そこにできあがってしまいます。それは、自分の中に、「他者が入ってくる」ことを意味します。他者が自分の中にどんどん入ってくると、結果的に、「自分ではなくなります」。
空気にはもちろん、「自分」と「他者」という区別があるわけではありませんが、息には、なんとなくですが、「自分」と「他者」の区別があります。自分の吐息と、他者の吐息は区別されます。区別をつけているのは、「自分」なのですが、それが生活をしていると、時々あやしくなることがあります。
深呼吸をすると、そんな、自分と他者の境界を、ある意味はっきりさせながら、同時に、他者との「つながり」を感じさせてもくれます。よく、心理療法ないし、カウンセリングの現場では、クライエントに、深呼吸をすることをすすめたり、しっかりとしたエクササイズとして行うこともあります。
それは、単にリラックスの為に行っているのではなく、生きていることの確認や、「自分をとりもどすこと」、「自分への信頼を回復する為」に行っています。
ネットでも、深呼吸に関するいろんな方法がのっていますし、シンプルなことなのに、中には非常に複雑な公式をもって行う方法もありますが、いずれにしても、どんな方法であれ、その深呼吸の意味を理解することが大切なような気がします。
自分のやりやすい方法でも、きっとうまくいくと思われますし、深呼吸の意味を考えると、他者に、「こうしたほうがいいよ」と教えられた方法・公式より、「自分らしい方法」のほうがむしろ本質的で、いいかもしれません。
皆さん、自分を見失いそうになったと時には、一緒に深呼吸をしてみましょう。
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